月の音が聞こえる
「まっくらの中は月明かりの響き」
昨日、貴重な体験をしてきました。完全に光を遮断した”純度100%の暗闇”と表現される世界に身をおく体験です。 日常生活において、 どれだけ明りを消してみても何かしらの明かりが灯っていて、完全な暗闇を体験することはなく、例え夜の森に入り込んでも月明かりや星の明かりが(多分)あると思うのですが、これは正真正銘 真っ暗闇の世界。
”ダイアログインザダーク”
ドイツで生まれ、今は世界41か国以上で開催され、体験者800万人を超えるという暗闇のソーシャル・エンターテイメント。
日本では、東京と大阪でその体験が出来るとの事(ただ現在は、東京は企業向けで個人で体験出来るのは大阪だけ)で、前から一度体験してみたいと思っていたのです。
中でも、大阪のプログラムは住宅メーカーとの共創プログラム。「対話のある家」と題された暗闇の住空間で参加者がグループとなり、様々なシーンを体感するというもの。
私達の回は知人と私の他に、東京や名古屋から来られたという若い男性や女性を含む6人を暗闇のエキスパートである視覚障がい者のアテンドの方お二人が誘導して下さいました。
まず目を慣らす為に少し照明を落とした空間に案内され、そこで白杖の使い方を教わります。
その後もう一段階暗い空間に通され、そこで完全な暗闇に案内されるのですが、一瞬にして自分の掌さえもが見えない世界になります。
いつか少し目が慣れてかなりぼんやりにでも何かを感じられるのだろう・・と思っていましたが、そんな予測は裏切られ・・。「そんな期待は諦めて捨てて下さい」とアテンドの方にあっさりと諭されます。
この暗闇の中でアテンドのもとに家の中でのいろんな行動や対話を体験するのです。
玄関へのアプローチを進み、玄関扉を探し、上がり框を探して靴を脱ぎ(帰る時には当然また自分の靴を履くのですから、靴の場所も覚えておく必要があります)、居間(和室)に上がります。
足から伝わる感覚と畳の香り・・これほど視覚以外の感覚を意識(自覚)したことはなかったかもしれません。手探りで進みながら部屋の広さや、どこに何があるか・・等を知ります。
また、本当に暗くて何も見えないので、声をかけあったり、(ちゃぶ台があります)等の情報を伝えあう事の重要性を感じます。また感じた事を発さなければ自分の存在を示すことが出来ず、その世界では透明人間のようになってしまう事にも気づきます。
居間を通り過ぎ、縁側に出て、無視の声を聴きながら、お月見をします。お月見といっても目で見えるわけではないので、各自 お月見をイメージするのです。でも何となく月が見えてくるような気がするから不思議です・・。
その後は二人一組になって 庭でストレッチ運動をしたり、部屋に戻ってちゃぶ台を囲んで、おやつタイム。選んだ飲み物を人数分 アテンドの方がコップに注いで渡してくれます。その手際のよいこと。当然見えませんが、音でその所作が如何にスムーズであるかが伝わってきました・・。
また、暗闇で飲むジュースの味。舌に意識が集中する感覚もはじめて体験した気がします。
その部屋の中では、その仲間と様々な会話をするのですが、初対面であるにも関わらず、素直に話が出来るような気がしました。
プログラムは説明や準備時間もいれて約70分のプログラム構成なのですが、気が付けばあっという間に終わり、もう少しいろんな体験をしてみたい気持ちにすらなりました。
体験してみて意外に感じたのは、暗闇が”怖い”ではなく、”心地よい”空間に感じた事。誰からも見られてもいない事で気持ちがリラックスするのか、暗闇から聞こえる声が安心感を生むのか、対話が安心感を呼ぶのか・・。暗闇の中にいる事が、母親の胎内にいるイメージと被ったような気がしました。
また、私達がいかに普段視覚情報に頼っているかという事が分かる他、 視覚以外の様々な感覚の使い方やその心地良さに気づくなど、様々な発見がありました。 視覚に頼り過ぎているが故に気づけない事も沢山あるような気がします。
暗闇から明かりのある状態に戻る時、この時も目を明かりに慣らす為に段階的に明るい部屋に戻っていきます。少しでも明かりがあると つい先ほどまでニックネームで声かけあった参加者たちの顔が見え、それと同時に恥じらいみたいなものが生じ、気楽に声をかけにくくなりました。
感じることは人それぞれ。
ある人は親子で参加して成長した息子の頼もしさを感じる事が出来たり、これがきっかけで出逢いに結び付いたカップルがいたり・・ そんな方もいらっしゃったとか・・。
〇見える事が距離になる。
〇見える事で見えなくなっている事がある。 が、自分にとって一番心に残った事
季節によってプログラムも変わっていきます。またアテンドの方によっても聞けるお話が違うようです。もし気になった方がおられたら、行ってみて下さい。
貴重な体験になると思います。
また、プログラムは予約制(そして期間によってはやっていない時期もあるそう)なので、事前に予約を忘れずに。
↑ 秋雨の朝・・小さな宝物、見つけた!
明日は車がない為、始発電車で仕入れに。
そろそろ寝なくては・・。
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